今回は、鳥海修著『文字を作る仕事』をご紹介します。

本書は、書体設計士としてヒラギノ書体や游書体シリーズなど、日常的に多くの人が目にしている書体を世に送り出してきた著者による一冊です。「書体の作り方」を具体的な手順やテクニックとして解説する技術書ではなく、著者の生い立ちや仕事を通して出会った人々との関わりを軸に、ものづくりに向き合う姿勢や考え方が綴られたエッセイに近い内容となっています。
前半では、幼少期の興味関心や浪人時代、大学生活でのエピソード、読書体験に加え、地元・山形の鳥海山の風景の中での暮らしなどが語られ、著者の人となりが丁寧に描かれています。 続く中盤では、書体制作の仕事を通して出会った人々との印象的な交流が語られ、終盤では、著者が理想とする書体についての考えへとつながっていきます。
「書は人なり」という言葉があるように、書体とは単なるツールの進歩やテクニックだけで生まれるものではなく、作り手の人格が色濃く反映されるものなのだと実感しました。何より、文字を作る仕事への深い愛情と誠実な姿勢が強く伝わってきます。 文字に興味のある方はもちろん、ものづくりに関わるすべての人におすすめできる一冊です。
書籍情報:
『文字を作る仕事』
著者:鳥海修
発行:晶文社
購入情報: amazon
https://www.amazon.co.jp/文字を作る仕事-鳥海-修/dp/4794969287
(KT)