今回は、雪朱里著、『文字をつくる―9人の書体デザイナー』をご紹介します。

本書は、インタビューと書体のメイキング、その組み見本という構成で9人の書体デザイナーを紹介しています。紹介されているデザイナーの年代も幅広く、金属活字から写植、デジタルフォントまで、各時代の文字づくりについての話にふれられています。9人のそれぞれの視点から文字づくりについて知ることができる内容だと思います。また、制作風景や仕事場の写真、資料やスケッチなどが豊富に掲載されているので、書体デザイナーという仕事をイメージしやすいのではないでしょうか。
私自身は、書体デザインに興味を持ち始めた頃にこの本に出会いました。当時は、紹介されている書体の名前は知ってはいるものの、誰がどのようにつくったのかはこの本を通して初めて知りました。人が1文字づつ作っていることを強く感じて更に書体デザインに興味を持つ様になったのを覚えています。またインタビューでは、書体デザイナーになるまでの経緯や制作への思いなども語られていて、今読み返しても励みになる言葉が幾つもあります。書体デザインに興味がある方はもちろん、文字を扱うことのある方全員にぜひ読んで欲しい一冊です。書体デザインの面白みが詰まった本です。
書籍情報:
『文字をつくる―9人の書体デザイナー』
著者:雪朱里
発行:誠文堂新光社
購入情報:
amazon
https://www.amazon.co.jp/文字をつくる―9人の書体デザイナー-雪-朱里/dp/4416810385
(KT)
シリーズアーカイブ おすすめの一冊 / 今月の一冊
- 今月の一冊(2025年6月)『文字をつくる―9人の書体デザイナー』
- 今月の一冊(2025年4月)『文字の食卓』
- 今月の一冊(2025年3月)『現代図案文字大集成』
- 今月の一冊(2024年11月)『そこに文字が』
- 今月の一冊(2024年10月)『人間と文字』
- 今月の一冊(2024年 7月)『[新デザインガイド]日本語のデザイン』
- 今月の一冊(2024年4月)『明朝体活字 その起源と形成』
- 今月の一冊(2024年2月)「タイポさんぽ―路上の文字観察」
- 今月の一冊(2023年9月)『味岡伸太郎 書体講座』
- 今月の一冊(2023年7月)『活字に憑かれた男たち』
- 今月の一冊(2023年2月)『The Visual History of Type』
- 今月の一冊(2022年12月)『Reading Letters』
- 今月の一冊(2022年10月)『SANS SERIF』
- 今月の一冊(2022年6月)『「書体」が生まれる』
- 今月の一冊(2021年12月)『街で出会った欧文書体実例集 -THE FIELD GUIDE TO TYPOGRAPHY-』
- 今月の一冊(2021年11月)『デザインワークにすぐ役立つ欧文書体のルール』
- 今月の一冊(2021年10月)『タテ書きはことばの景色をつくる-タテヨコふたつの日本語がなぜ必要か?-』
- 今月の一冊(2021年9月)『漢字とカタカナとひらがな-日本語表記の歴史-』
- 今月の一冊(2021年8月)『Scripts: Elegant Lettering from Design’s Golden Age』