シリーズタイプエンジニアリング/ヒントの話
2026.3/2
ヒントの話02「水平ヒントと垂直ヒント」
前回は、ヒンティングが「文字の形をピクセルのマス目に合わせるための命令」であることを説明しました。今回からは、PostScriptヒンティングの具体的な仕組みを見ていきます。
PostScriptヒンティングにおいて、基礎となる概念のひとつが「ステムヒント」です。「ステム」はタイプフェイスデザインの文脈では主要な垂直線を指して使われることが多いですが、ステムヒントの「ステム」はもっと広い概念です。
ステムヒントは、その向きによって「水平ヒント」と「垂直ヒント」の2種類に分類されます。 座標を用いて「ここからここまでの範囲が水平方向のステム」と指定するのが水平ヒント、垂直方向のステムを指定するのが垂直ヒントです。 直線のパーツだけでなく、例えば「D」の右側のふくらんだ部分の幅も垂直ヒントとして定義されます。フォントデータ内にこの定義が存在すると、ラスタライザ(文字を描画するプログラム)は、指定された範囲を優先的に処理します。

このように、文字の骨格となる幅を「ステム」として定義し、ピクセルのマス目にうまく乗るように制御することで、低解像度の画面であっても文字の形が崩れることなく表示されるようになります。
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