2026.8/31
TPアプリコット開発ストーリー08:カタカナの制作
前回の記事では、ひらがな制作の裏話をお届けしましたが、今回はカタカナの制作について、担当したデザイナーの視点から少しお話ししたいと思います。前回も触れたように、TPアプリコットでは、ひらがなとカタカナの制作を分担して進めました。
私は、欧文と漢字の制作を先行して担当し、それらに合わせたひらがなの試作がある程度進んできた段階で、カタカナの制作をスタートしました。制作にあたっては、ひらがな担当のデザイナーから資料や現状の課題などを共有してもらいました。
この時点では、欧文は傾斜のついたデザイン、漢字は正体、ひらがなはどちらかというと漢字に寄せた、ふっくらとして落ち着きのあるデザインでした。そこでカタカナについては、漢字やひらがなに合わせた正体寄りのデザイン案と、欧文の傾斜を取り入れた、ややスピード感のあるデザイン案の2パターンを試作してみました。

どちらの方向性が適しているかを検討するため、すべての文字種を混植した見本を作成し、他のメンバーと議論を重ねました。また、欧文についても傾斜バリエーションの試作を行いました。その結果、傾きを抑えた方が、和文書体としての安定感と読みやすさのバランスが良く、TPアプリコットのイメージにも合うという結論に至り、欧文・カタカナともに正体のデザインを採用することになりました。

特定の書風にとらわれない、独自の特徴を持つ欧文や漢字に対して、相性の良いカタカナのデザインを探っていく作業は、面白さを感じる一方で、どの方向性が最適か悩む場面も多くありました。
そんなときには、ひらがな担当のデザイナーと互いのデザインについてフィードバックや相談を重ねることで、新たな視点からのアイデアを得ることができました。開発初期には、欧文や漢字の試作など、一人で文字と向き合う時間が長かったので、ひらがなとカタカナの制作を同時に、意見交換をしながら進められた仮名制作の工程は、新鮮な空気感を感じられるものでした。
その後の漢字や記号類の拡張作業も、ひらがな担当のデザイナーと二人三脚で進め、無事に完成へと辿り着くことができました。私たちの試行錯誤の積み重ねが、良い形で書体に反映されていたら嬉しいです。
今回ご紹介した裏話以外にも、TPアプリコットの制作過程やコンセプトを、開発ストーリーページで詳しく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
(XYZ)