2026.11/2

文字の名前とグリフの名前07「名前の向こうに」

この連載では、Unicodeの文字名、Adobe-Japan1のCID、name-keyed fontの標準的なグリフ名(Production Name)、GlyphsのNiceNameなどについて見てきました。これらはいずれも、なんらかの「割り切れなさ」を抱えています。フォントの世界には単純には整理できないことが数多く存在し、フォントエンジニアリングでは、次々に現れる例外に対処するための作業が必要となります。

フォントは文字と表裏一体であり、文字は言葉を映し出すものです。言葉は論理的に設計されたものではなく、人々の営みのなかで形作られてきた文化や歴史、その混沌とした積み重ねをそのまま呑み込んでいるので、規格に収めようとしたときに、どうしてもはみ出してしまう部分が生じます。

モノに名前を与えるということは、抽象化し、秩序立てて整理しようとする試みに他なりません。文字やグリフをめぐって、複数の名付けの体系が層をなして混在しているわかりにくさは、文字の混沌へと挑むわたしたちの終わらない戦いの軌跡であると言うことができるかもしれません。

(mm)

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