前回の記事では手書きの原稿からIllustratorの画像トレースを使用して自動的にアウトラインを作成する方法をご紹介しました。
今回はスキャンした手書き文字をIllustratorのペンツールを使って1文字ずつなぞっていく方法を紹介したいと思います。
手書きの文字をスキャンする際の注意点などは前回の記事を参考にしてみてください。
スキャンした画像をIllustratorで開き、画像を選択した状態でプロパティパネルを開き(ウィンドウ>プロパティ)不透明度の調整をします。 スキャン画像の上からアウトラインを引いてなぞる際にアウトラインの黒い線を見やすくするための処理なので、不透明度20-30%程度がおすすめです。


不透明度が調整できたらレイヤーパネル(ウィンドウ>レイヤー)でスキャンデータのあるレイヤーにロックをかけ、アウトライン描画用の新規レイヤーを作成します。

アウトライン描画用のレイヤーでペンツールを使って1文字ずつアウトラインのパスを引いていきます。このときの描画設定は、塗り:なし、線の色:黒、線幅:0.25から0.5ptあたりにしておくと良いでしょう。塗りが無しになっていないとパスを引いている途中で塗りの色で下書きが隠れてしまってなぞりにくくなってしまいます。
ペンツールでは直線と曲線の2種類の線が描画できるので、自分の書いた文字のデザインに合わせて直線と曲線を使い分けながらなぞっていきましょう。

ペンツールで細かい形状を描画するのには少し時間がかかるので、筆文字のような有機的な形状やインクの掠れなどのディテールを再現したい場合には前回ご紹介した画像トレース機能を使用してアウトラインを作成した後、ダイレクト選択ツールを使ってパスの微調整をするのがおすすめです。
一方でペンツールでは文字の1画1画を別々のパスとして描画することができるのが利点です。後から文字の一部のパーツのみ形を修正したい場合などには全体を袋文字のようにアウトライン化するよりも、1画1画が独立している方が作業がしやすいです。

それぞれの文字のアウトラインのパスが引けたら全てのパスを選択して塗りと線の設定を、塗り:黒、線:なしに変更した後、1文字ずつドロップシートにコピーしていきましょう。
塗りと線の設定が正しくないとフォント化した際に文字が表示されないので注意してください。
ドロップシートにパスを置く際の注意点は前回の記事を参考にしてください。
製品情報:
Drop&Type 2.0
動作環境:Adobe IllustratorがインストールされたmacOS、Adobe IllustratorインストールされたWindows 10(日本語版)
生成ファイル:OpenType フォント(ヒント情報は含みません)
価格:4,000円(税込)
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